強化ガラスの割れ方とほかのガラスとの違い|おもな特徴・割れる原因
ガラスといえば割れやすいものですよね。割れたガラスは刃物のように、私たちの体を傷つけてしまう危険なものになってしまいます。そのため、人がよく利用するような場所は普通のガラスよりも割れにくい「強化ガラス」が使われていることが多いです。
お住まいの家の窓を、強化ガラスにしている人もいらっしゃるかもしれません。しかし、強化ガラスだからといって絶対に安全かといえば、じつはそうではありません。今回は強化ガラスの割れ方や割れてしまう原因に加え、ガラス割れの対策をご紹介いたします!
強化ガラスの割れ方の特徴
割れなくて安全なはずの強化ガラスが、割れてしまうことなんてあるのでしょうか?そもそも「絶対に割れないガラス」などというものは、残念ながら世の中には存在しません。強化ガラスも割れるときはあるのです。
ただし、強化ガラスは割れ方に特徴があり、一般的に使われているフロートガラスよりも安全性に配慮した割れ方をします。強化ガラスは割れたときに肌を切るような大きな破片が飛び散ることはなく、尖っていない小さな破片が狭い範囲に落ちるため、危険が少なくなっています。
一般的なガラスは放射状に大きく割れて、破片はナイフのように尖っているため、ちょっと触っただけで簡単に肌を切ってケガをしてしまいます。また、窓枠にも大きな破片が残ることが多いので交換にも危険が伴うでしょう。
一方強化ガラスは窓枠に破片を残すことなく、割れるときはガラス全体が粉砕する構造になっているため、後の交換処理も比較的簡単にできるようになっています。強化ガラスは絶対に割れないガラスではありませんが、安全性に最大限配慮しているガラスなのです。
ヒビを放置すると危険!
しかし強化ガラスは小さな傷が生じることにより、突然割れてしまうことがあります。なぜなら、強化ガラスはガラスの表面と内部に異なる力が等しく加わっているため、傷が生じることにより、その力のバランスが崩れてしまうからです。
また強化ガラスは傷が生じたと同時に割れるのではなく、傷が徐々に広範囲へ広がることで突然割れることが多いです。ガラスに傷やヒビが生じている際は、突然ガラスが割れることによるケガのリスクに備え、放置はせず早めに交換することをおすすめします。
「割れない」イメージの強化ガラス、その構造とは
一般的なガラスよりも割れにくい強化ガラスが割れてしまうときというのは、どういうときなのでしょうか。強化ガラスは耐久性を高める構造をしていますが、それによって新たな弱点を生み出しているガラスでもあるのです。
強化ガラスは一般的なフロートガラスに、追加の処理を加えることで製造されています。フロートガラスを約700度で熱したのち、冷気を一気に吹き付けて表面を瞬時に冷却することで強化ガラスはできあがります。
この加熱・冷却の処理によって、ガラス表面には内側へ圧縮しようとする力が、内部ではバランスを保つために外側へ膨張しようとする力が同時に働いて2つの層が生まれます。簡単にいえば、強化ガラスはバランスのいい2重構造になっていることで、高い耐久性を実現しているのです。
強化ガラスの弱点を知っておこう
加熱・冷却処理によって2重構造を生み出し、耐久性を高めている強化ガラスですが、この処理によって通常のガラスにはない新たな弱点も生み出してしまっています。
・一点の衝撃に弱い
強化ガラスは衝撃を全体に分散することに長けているため、一般的なガラスよりも面に対する衝撃には強く、滅多なことで割れることはありません。しかし反面、一点に集中した衝撃には非常に弱くできています。そのため防犯対策として活用しても、ハンマーやバールなどで割られてしまうおそれが高いため、防犯には不向きです。
石や自然災害時に飛散したものがぶつかるのを防ぐには、シャッターや雨戸を取り付けるのがおすすめです。そのほかにも、格子(木や鉄などを組んだもの)を取り付ける方法もあります。
「雨戸などを新たに設置するのは難しい」「ガラス自体を防犯性の高いものに交換したい」といった際は、防犯ガラスに交換することをおすすめします。防犯ガラスの特徴や交換時の費用相場など、詳しく知りたい際はこちらをごらんください。
・急な温度変化に弱い
ほかには一般的なガラスと同様に、急な温度変化に弱い特徴があります。とくに、冬になると暖房機器を使用することが増えるため、室内外の温度差によって“結露”が生じやすくなるので気をつけましょう。
結露が増えると窓のサッシ部分に水が溜まっていきます。サッシ部分の多くはアルミなどでできているため、水によって温度が下がりやすいのに対し、ガラスの表面は太陽によって温められることで、表面温度が上がります。それによりサッシ部分とガラス表面に温度差が生じて、ガラスが割れやすくなるのです。
また、ガラスは熱を吸収することで熱せられた部分が膨張するのに対して、サッシ部分は温度が上がらないため、膨張しません。ガラスが膨張すると、ガラスに引張応力といった力が加わるため割れる原因にもなります。
ガラスに加わる力については次に解説する【「圧縮応力層」に強い衝撃が加わったケース】(ページ内リンク)をごらんください。強化ガラスが割れるこれらの症状を“熱割れ”と呼びます。
ガラスのサッシ部分に結露を発見したら、こまめにタオルなどで拭き取って熱割れを防止しましょう。また結露の発生を防ぐには、強化ガラスの近くに暖房器具を配置しないようにすることも大切です。
強化ガラスに交換をお考えの方は、弊社にお任せください
強化ガラスには以上で説明したとおり、さまざまなメリットやデメリットがあります。強化ガラスについてより詳しく知りたい方や、交換をお考えの方がいましたら、お気軽に弊社にご相談ください。
強化ガラスに交換する場合、交換時にかかる値段が気になる方もいることでしょう。以下のサイトでは、強化ガラスの本体価格や、交換作業でかかる費用について解説していますので、ぜひ合わせてごらんください。
強化ガラスでも割れてしまう原因
強化ガラスを強化している表面と内部の層ですが、皮肉なことにこの2つの層の圧縮と膨張の力が強化ガラスの割れる原因になるケースも多いです。この章では強化ガラスの割れ方をこの力の観点からもう少し詳しく解説していきます。
「圧縮応力層」に強い衝撃が加わったケース
強化ガラスが冷却された際に生まれる、内部に圧縮しようとする表面層のことを“圧縮応力層(あっしゅくおうりょくそう)”といいます。外部からの衝撃に強い圧縮応力層に傷を受けただけでは、強化ガラスが割れることはありません。
強化ガラスが割れるのは、圧縮応力層を貫いて内部の“引張応力層(ひっぱりおうりょくそう)”に衝撃が伝わったときです。引張応力層まで衝撃が伝わると、一瞬で2つの応力のバランスが崩れてしまい、結果粉々に割れてしまうことになるのです。
小さな一点に衝撃を受けた場合、引張応力層まで衝撃が伝わってしまう場合が多く、小さな小石がぶつかっただけで割れてしまうケースもあります。また、表面に傷が蓄積されることで、ある日突然内部の層があらわになって割れてしまうケースもあるようです。
ガラスに石がぶつかるのを防ぐには、先ほど紹介した雨戸やシャッターの設置をおすすめします。強化ガラスの表面に生じる小さな傷は、ガラスにぶつかるほかに拭き掃除などをする際にできやすいです。そのため強化ガラスの拭き掃除をおこなう際は、クレンザーなどの研磨剤は使用せずに雑巾やタオルを使うとよいでしょう。
ガラスの品質が悪く、不純物が含まれていたケース
製造時の管理不足で、割れる原因が生み出されてしまうこともあります。ガラス内部には時折“硫化ニッケル”が含まれることがあります。硫化ニッケルは原料由来の不純物です。
この不純物も含めた状態で、そのまま2重構造の力のバランスが保たれるように製造してしまうと、後に温度変化によって不純物が膨張することがあります。この膨張した不純物が内部から応力層のバランスを崩してしまい、自然破損を起こしてしまうことがあります。
製造時に不純物(硫化ニッケル)が混入しているのかを確認するには、“ヒートソーク処理(ソーク処理)”が不可欠です。
ヒートソーク処理とは、製造した強化ガラスを約300度で熱することで不純物が膨張し、ガラスを破壊させる方法を指します。多くのガラス製造会社では、ヒートソーク処理が施されているため滅多に不純物によって割れることはありません。
仮にガラスに不純物が含まれていたことによって割れた場合、メーカーや購入した店舗に問い合わせをすることで、無償で交換してもらえることがあるので、一度相談をしてみるとよいでしょう。
強化ガラスの割れ方が不安?割れや飛び散り対策法
強化ガラスが割れ方に配慮した安全なガラスといっても、割れたときにケガをする危険がまったくないわけではありません。できることなら割らずに使い続けたいものですが、何か対策はできないのでしょうか。
防犯フィルムが強化ガラスの割れ防止に有効!
不審者が窓から侵入するのを防ぐ防犯フィルムですが、単純に窓の割れ防止として活用するのも有効といわれています。
防犯フィルムは適当なものを選ぶのはおすすめできません。できれば確実に防犯効果があると認められた製品が取得できる“CP認定”がされているフィルムを選ぶと、割れ防止にも防犯にも効果的でしょう。
飛散防止シートも飛び散り防止できて安心
ガラスが割れてしまったときに、破片が周囲に飛散するのも非常に危険なことです。ホームセンターなどで販売されている“飛散防止シート(フィルム)”を貼れば、割れたガラスが飛び散るのを防ぐことができます。
ただし、飛散防止シートはあくまでガラスの飛び散りを防ぐものです。ガラス割れ自体を防止するわけではないので、そこは勘違いしないようにしましょう。
強化ガラスよりも強い、合わせガラスに取り替える
フィルムやシートを貼るだけでは信用できない!という方は、強化ガラスよりもさらに強い強度を誇る“合わせガラス”に交換してみるのをおすすめします。
2枚以上のガラスを接着した合わせガラスは、強化ガラスのように一点の衝撃でもすぐに割れることはなく、万が一割れたときにも、破片が落ちにくい構造になっています。
小さなお子様に留守番をさせてしまうことが多いご家庭にも、防犯用としても非常におすすめのガラスです。
まとめ
強化ガラスは一般的なガラスよりも耐久性が高く安全なガラスですが、条件によっては簡単に割れてしまうことがあります。
強化ガラスは小石がぶつかったりバールで叩かれたりなどの、一点に集中した衝撃には非常に弱い構造になっています。また長年の傷が蓄積したり、製造時にまぎれた不純物によって、自然破損してしまったりする場合があります。
防犯フィルムや飛散防止シートを取り付けることで、手軽に強化ガラスの安全性を高めることができます。より確実な安全性を求めるなら、強化ガラスよりもさらに強度が強い「合わせガラス」を検討してみるのもいいでしょう。
弊社は強化ガラスや防犯ガラスなど、さまざまなガラスの交換に対応する業者をご紹介しております。また、交換をおこなう前に、ガラスの厚みや寸法、種類を確認し、実際に依頼した際にかかる費用の見積りを無料でご提示させていただきます。
年中無休で電話相談に対応いたしますので、依頼時に費用や気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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